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執筆者の写真ミキ ワグナー

ジョンソン首相からの手紙

 現在新型コロナの感染により容体が悪化し、ロンドンにあるセント・テームズ病院のICUで治療を受けているイギリスのジョンソン首相。3月23日の外出禁止令発令の際には、とても分かりやすい言葉を使い『なぜ外出してはいけないのか』を語りかけるように演説し、その柔らかな口調の中にもしっかりとした主張が感じられた演説に好感をもったイギリス人も多かったそうです。


 外出禁止令発令から2週間ほど経過しサマータイムを迎えた週末。サマータイムが始まる時期には夜8時くらいまで明るいこともあり、しかも加えてこの週末は天気も大変よく、公園を散歩するついでに芝の上に寝っ転がって日焼けを試みる人や、サッカーに興じる人達が出始め、人々の不安を大いに掻き立てました。


 日本では「感染を広げない」という点にポイントを於いているようですが、イギリスでは終始「NHS(国営保健医療システム)を守ろう!」という点が新型コロナ対策の目標になっているのが大変興味深い点です。


 え、守ろう(Protect)?病院を?


 これは貧しい人でも無料で高度な医療を等しく受けることが出来るイギリスが世界に誇る医療制度を崩壊させないようにというメッセージなのですが、この目標が「感染拡大を防ごう!」というメッセージよりもイギリス人に対して訴求効果があるというのは不思議に思えるかもしれません。


 日本の様に患者が自分で病院を選べるシステムと違い、イギリスはホームドクター制度(国営)を採用しています。就職や結婚等で住所が変わらなければ、親子代々に渡って同じ診療所(ホームドクター)ということも多く、「家族中がお世話になっている近所の診療所」ということで、日本人の病院に対するものとは比較にならないほどのイギリス人のNHSに対する信頼感と感謝の念がイギリスの医療制度の根本を支えていると感じます。


 浮かれ始めて外に繰り出す人を諫める為にジョンソン首相がイギリス全世帯に手紙を送付しました。


 Stay at home, Protect the NHS and save lives (家に居ろ、NHSを守れ、命を救え)

 この短い、ですが目標がはっきりとしたスローガンは人々に浸透するようです。その後、外出禁止令を破る人々は減少したとニュースで報道されました。入院したタイミングで届いたジョンソン首相から手紙には大変インパクトがあり、何よりもとてもリアルにメッセージの内容が届きました。




 こちらは手紙と一緒に届いた冊子です。興味のある方は左の写真をクリックしていただけるとサイトに飛べます。


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